普通はこういうのは民法で説明するんですが、私は刑法が好きなので、刑法を中心に説明します。
そもそも、法律論文は何を書けばいいかというところですが、もちろん「問いに答える」ことか必要ですので、何を書くかは問題によります。ただ、(科目によって微妙に違うところはあるものの)基本的な要素は、
検討対象(民法なら当事者が実現したい内容、刑法なら行為)の特定
↓
法的根拠
↓
要件
↓
事実のあてはめ
↓
結論
であることが多いかと思います。
刑法で言えば、
検討対象(行為)の特定
甲がバットで丁の左腕を1回殴り付けて打撲を負わせた
↓
法的根拠
刑法204条
↓
要件
①「人の身体」を
②「傷害」
↓
事実のあてはめ
①丁の左腕→「人の身体」にあたる
②にあたる?→「傷害」とは?→生理的機能障害→打撲は生理的機能障害→「傷害」にあたる
↓
結論
傷害罪が成立
という感じです。
そして、いわゆる「論点」というのは、この検討の過程において問題となる事項です。必ずしも以下に限られるわけではありませんが、
・そもそも要件が何なのか(例:公務執行妨害罪における職務の適法性)
・要件とされる文言の具体的意味(例:民法94条2項の「第三者」の意義)
あたりが典型的に論点となりやすい部分です。
そして、論点となる部分については、論証し、自らが拠ってたつ見解を示す(規範を定立する)必要があります。
その上で、検討した要件(定立した規範)に、問題文に記載された事実をあてはめていくことになります。
あてはめをする際は、事実(問題文からの引用)+評価+規範へのあてはめ、という形で行います。
例えば、
「本件では、甲は鉄パイプで乙の頭を思い切り殴っており(事実)、鉄パイプという重量のあるもので、頭という人体における枢要部を思い切り殴っていることから、(評価)甲の行為は死亡結果発生の現実的危険性を有するものであり、殺人罪の実行行為にあたる(規範へのあてはめ)」だとか、
「甲は乙のお皿に小便をかけており(事実)、食器である皿に小便という非衛生的なものをかければ、一般に食器に用いることへの抵抗感や嫌悪感を抱くものであるから(評価)、甲の行為は皿の効用を喪失する行為であり、「損壊」にあたる(規範へのあてはめ)」
という感じです。
実際には、評価をするまでもなく事実から当然に規範にあたると判断できる場合もあると思いますが、とりあえずは何かしら評価ができないか考えてみるとよいかと思います。
事実のあてはめが終わったら、結論を書きます。
これで、とりあえず論文の形にはなると思います。